(K.S.)ソフトウェア(ファーム)としては、「フラットベッド」型のプリンターに必要な制御、機能を全て追加していく必要があるのが一番のチャレンジでした。というのも、本来は資産として使えるはずのソースコードが、大型インクジェットプリンタのロール機をベースに作られていたためです。
繰り返しになるが、今回のME08はフラットベッド以外の主な機構を従来製品から引き継いでいるため、機体の動きや制御の面から見ると、それほど大きな違いはない。
(K.S.)当社にはこれまでのさまざまなプリンターで使われてきた制御プログラムがありますので、それを取捨選択しながら組み合わせ、機体に合わせて完成度を高めていくのが、通常のソフトウェア(ファーム)担当の役割なんです。
ところが、実は数年前に当社製品で使われているメインボードの大規模な世代交代があり、それ以前のソースコードが使えなくなっていた。スマホで言えば、AndroidとiOSで使えるアプリが異なるようなものである。
(K.S.)そして運の悪いことに(笑)、フラットベッド機で新しいメインボードを使うのはME08が初めて。僕がチーフになる以前から進めていてくださっていた方がいたこと、ソフトウェア(ファーム)設計チームのみんなが力を貸してくれたこと、量産直前まで調整に付き合ってくれた生産技術の方がいたこと、それらがなければ、期限内の開発は無理だったでしょう。改めて、仲間の頼もしさを感じるプロジェクトでした。