樋口鎮央常務(右)、吉次範博係長(左)

歯科技工のパイオニアに聞く、デジタルデンチャーの可能性(後編)

2017年06月27日 デンタル

日本の歯科技工業界を長年リードし続けてきた和田精密歯研株式会社様。全国各地に拠点を展開する業界最大手の歯科技工所です。歯科技工の最新技術を研究する同社のCAD/CAMセンターにて、デンチャー(入れ歯)の製作に必要な型を製作できる当社初の歯科用3Dプリンター「DWP-80S」をお使いいただきました。同社生産本部の樋口鎮央常務(写真右)、吉次範博係長(写真左)に、デジタルデンチャー(デジタルを活用して製作されたデンチャー)の可能性についてお伺いしました。

前編はこちら

DWP-80Sは、デンチャーの製作工程で必要な3種類の型を、患者さん一人ひとりの口腔内の形状に合わせて製作できる3Dプリンターです。患者さんの口腔内の精密な型を取るために使用するカスタムトレー、デンチャーの土台の型となるベースプレート、デンチャーの金属部分であるフレームワークの鋳造原型を製作できます。後編では、製品を実際にお使いいただいた感想について伺いました。

デンチャー製作ワークフローのデジタル化

和田精密歯研様での、現在のデンチャーにまつわる製作状況を教えてください。
「私たち大阪営業所だけで、例えばカスタムトレーは月に100~200症例を扱い、最大で400個程度受注しています。社内だけで対応できないものについては、提携しているパートナー技工所に製作を依頼しています」(吉次氏)

「デンチャーは完成までに必要な工数が多く、作業時間も長いため、歯科技工士への負担が課題となっています。例えばカスタムトレーは、手作業で製作する場合は1個あたり30分ほど時間がかかりますが、3Dプリンターを使えば、スキャン、設計などの工程を含め、出力を開始するまでに1個あたり10分から15分ほど、複数個を同時に出力すれば40分以上製作時間を短縮することが期待できます。また、出力中は技工士が別の作業に従事できるため、全体的な作業時間の短縮が見込めます。デンチャーの製作に必要なパーツの製作をデジタル化できれば、技工士の手作業の負担を軽減するだけでなく、これまで外注していたものも内製化できます」(樋口氏)

当社の3Dプリンターを実際にお使いになった感想はいかがですか。
「デンチャーの製作用途に特化した点が非常に優れていると思います。歯科用の3Dプリンターは、さまざまな用途で使うことができる汎用性を売りにした製品が中心ですが、運用面では機械ごとに用途を分けた方が使いやすいと感じています。高価な汎用機を多用途で使うよりも、DWP-80Sのような手頃な価格の専用機を複数台導入する方が効率良く運用できるのではないかと思います」(樋口氏)

「私はこれまで主にミリングマシンを扱っていて、3Dプリンターの使用経験はあまり多くありませんでしたが、DWP-80Sは使い勝手が良く、すぐに使いこなすことができました。専用のソフトウェアは操作画面がシンプルで、出力までに設定しなければいけない項目が非常に少ないため、手間なく出力できました。また、コンパクトで作業デスクに設置しやすい点も気に入っています」(吉次氏)

和田精密歯研様では、特にどのような用途で活用いただけそうですか?
「カスタムトレーの製作に活用できると考えています。3Dプリンターで出力した後、簡単な磨きの仕上げだけですぐに使用できるので、大変便利です。デンチャーの製作工程の改善を目指す当社にとって、製作に必要なパーツを短時間で安定して生産できることは大きなメリットになると感じます」(樋口氏)

歯科技工のデジタル化を成功させるためのポイントは何でしょうか。
「デジタルシステムの導入で作業効率を上げるためには、オペレーターである技工士が技能を磨き続けること、そして技工所全体の最適な運用体制を構築することが不可欠です。若手の技工士は、ベテランに比べて経験は少ないながらも、新しいデジタル技術の習得により積極的に取り組んでいます。デジタルの力を借りて日常の作業時間を削減できれば、若手の技工士がアナログを含めた技術を学ぶ時間を増やすことができ、従来の半分、もしくは3分の1ほどの期間で基礎技術を身に付けられる可能性があります。運用に関しては、例えば高い技術が求められる設計はベテラン、デジタルデータの制作や機械の操作はデジタルに強い若手が担当することで、技工所全体で効率良く作業を行うことができ、生産能力を高められると思います」(樋口氏)

今後、デジタル技術をどのように歯科技工に活かしていきたいですか?
「デンチャーに関しては、将来的には完成品まで全てデジタルで製作したいと考えています。まずは製作工程の一部の作業をデジタルに任せることは、完全なデジタル化に向けた第一歩になると思います」(樋口氏)

 

  • 現在はデジタルに関する業務に従事する吉次氏

    アナログの歯科技工の経験を積み、現在はデジタルに関する業務に従事する吉次氏。同社内でも特に優れた技術を持つスーパーテクニシャンとして活躍しています

  • 当社歯科用ミリングマシン

    和田精密歯研様では2011年から当社歯科用ミリングマシンをお使いいただいており、現在、全国の事業所で計27台が稼働しています

和田精密歯研株式会社様の詳細はこちら
http://www.labowada.co.jp/index.html

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販売名:歯科用3Dプリンタ DWP-80S 医療機器届出番号:22B3X10006000070
一般医療機器 歯科技工室設置型コンピュータ支援設計・製造ユニット