ワークショップの模様

簡単で楽しく学べるFabワークショップ(前編)

2017年11月02日 イベント・展示会, 3Dものづくり

9月9日(土)と16日(土)に、当社東京クリエイティブセンターにおいて、ファブラボ平塚様(神奈川大学経営学部)およびソニー株式会社MESHプロジェクト様のご協力のもと「作りながら学ぶ」をテーマにしたFabワークショップを開催しました。
イベント当日の模様や開催の背景などについて前後編に分けてお伝えします。

今回のワークショップは、学校で技術科などを担当する先生方や、市民にものづくりの場を提供するファブラボ*などのメイカースペースの運営に携わる方々に対して、電子工作とプログラミングのエッセンスを遊びながら楽しく学ぶことができる“新しいものづくりプログラム”を提案することを目的に開催しました。

当日は、講師として神奈川大学経営学部国際経営学科の准教授で、ファブラボ平塚の代表でもある道用大介様をお迎えし、また普段からファブラボ平塚の運営に携わる学生の皆さんにワークショップの進行をサポートいただきました。

ワークショップでは、当社3次元切削加工機「monoFab(モノファブ)SRM-20」を使って製作した電子基板にセンサーやモーター、LEDなどを取り付け、ソニー株式会社の電子タグMESH*で接続して、音や光、動きなどに反応してモーターが回ったり、LEDが光ったりするユニークな作品を製作する、という約3時間のプログラムを実施しました。

ワークショップの模様3次元切削加工機を使って製作した電子基板

* ファブラボとは
アナログからデジタルまでの工作機器を取り揃えた市民工房のネットワークです。当社の3次元切削加工機SRM-20やカッティングマシンはファブラボの推奨機器として認定され、世界各地のファブラボに導入されています。

* MESHとは
ソニー株式会社の新規事業から生まれたブロック形状の電子タグ。難しいプログラミングや電子工作の知識がなくても、動きや明るさのセンサーなどの機能を持つタグをスマートフォンやタブレット上のアプリケーションと接続することで、身の回りのものを簡単に電子制御して、さまざまなアイデアを実現することができます。
http://meshprj.com/jp/

9日(土)の1回目のワークショップには、教育関係者やファブラボなどの運営に携わる14名の皆さんが参加されました。冒頭に講師を務める道用准教授から「さあ、今日の主役は皆さんです。自由な発想で面白いものを作りましょう!」と参加者にエールが送られ、2人1組、7チームに分かれての作品作りがスタートしました。

まずは個人ワークです。チームの一人が明るさ、圧力、加速などの好きなセンサーを、もう一人がモーターやLEDなどを選択して、それぞれのアイテムを組み込んだオリジナル電子基板を製作します。3次元切削加工機を使い、基板材料の表面に、選んだアイテムに最適な電子回路のパターンを削り、丸い形に外枠をくり抜きます。そして、電子基板を動かすために必要なセンサー端子などの部品を「はんだ付け」して、オリジナル電子基板を完成します。

オリジナル電子基板ファブラボ平塚の学生スタッフが3次元切削加工機の操作方法をレクチャー

ファブラボ平塚の学生スタッフが3次元切削加工機の操作方法をレクチャー

電子基板を動かすために必要なセンサー端子などの部品をはんだ付けはんだ付けが得意な参加者が他の参加者にコツを披露

はんだ付けが得意な参加者が他の参加者にコツを披露

それぞれの電子基板が完成したら、チーム2人の電子基板をMESHで接続します。スマートフォンやタブレットに対応した専用のアプリケーションを使い、2つの電子基板をつなげて制御できるようにプログラムします。MESHでつなげた電子基板は、片方に「触れる」「圧力をかける」などの力を加えると、もう片方がその力に呼応して「モーターを回す」「LEDを点灯する」などの動きで反応するようになります。チームメイトとつなげた電子基板の動作を確認しながら、2人でアイデアを出し合って、面白い作品に仕上げていきます。

チーム2人の電子基板をMESHで接続2人の基板をどのように組み合わせれば面白い作品ができるかをディスカッション

2人の基板をどのように組み合わせれば面白い作品ができるかをディスカッション

会場には、作品のアイデアをより膨らませていただくために、アクリルカバーや紙粘土などの材料や、ファブラボ平塚で製作したサンプル作品も多数用意されました。

作品を飾り付けてより面白い作品にするために必要なアイテム

作品を飾り付けてより面白い作品にするために必要なアイテム

ファブラボ平塚の学生が製作した作品サンプル

ファブラボ平塚の学生が製作した作品サンプル

道用准教授にアドバイスを受ける参加者

道用准教授にアドバイスを受ける参加者

開始当初は道用准教授の説明に聞き入っていた参加者の皆さんも、実際に学生スタッフと一緒に電子基板を製作したり、チームで意見交換をしながら徐々に作品がカタチになっていくにつれ、コミュニケーションが活発になっていきました。作品の作り込みに集中するペア、失敗しながらも笑顔で作品作りを楽しむペアなど、参加者全員が夢中になって作業している様子がうかがえました。

写真左:より楽しい作品になるように、用意された材料を工夫して作り込みます 写真右:センサーに向かって手を突き出すとLEDが光る作品

写真左:より楽しい作品になるように、用意された材料を工夫して作り込みます
写真右:センサーに向かって手を突き出すとLEDが光る作品

どのチームも、限られた時間を目一杯使って作品を完成させていきました。ワークショップの最後には作品の発表会が行われ、各チームが実際に作品を動かしながらお披露目しました。どの作品にもユニークなアイデアやこだわりが反映されており、他の参加者からの驚きの声や笑い声が絶えませんでした。

プレゼンテーションの様子

* 作品の動画を道用准教授のFacebookページでご覧いただけます。
https://www.facebook.com/doyo.daisuke/posts/1298591660267172?pnref=story

「作りながら学ぶ」をテーマにした今回のワークショップでは、一見難しそうにみえる電子工作やプログラミングなどの基本プロセスを楽しく学べただけでなく、アイデアをカタチにしていく過程でコミュニケーションがとても大切であることを体感いただくよい機会となりました。参加者全員が熱い議論を交わしながら、熱心に作品作りに取り組む姿がとても印象的でした。

後編では、ワークショップを企画した当社の担当者や道用准教授のお話をご紹介します。