猫のイラストをUVプリントしたSobagniのコースター

自動車シート用の合成皮革から生まれたグッズブランド

2022年12月19日 デジタルプリンティング

自動車内装用の合成皮革素材で世界トップクラスのシェアを持つ共和レザー株式会社様。
自社の合成皮革を使った個人向けグッズブランド「Sobagni(ソバニ)」を立ち上げ、UVプリンター「LEF2-300」でさまざまなデザインを施しています。

写真:猫のイラストをUVプリントしたSobagniのコースター

高品質で環境に優しいエシカルレザーをグッズに

共和レザー株式会社は、当社と同じ静岡県浜松市を拠点に、自動車のシートなどに用いられる合成皮革を製造・販売しています。2021年6月にECサイトを立ち上げ、同社初のBtoC向け新事業としてSobagniブランドをスタートしました。
Sobagniを運営するブランド企画部の鈴木賢さん(下写真)にお話を伺いました。

共和レザー株式会社ブランド企画部の鈴木賢さんSobagniのショールーム

Sobagniのショールームにはバッグや文具まで幅広い商品ラインナップが揃う

  • シンプルで使いやすい人気のトートバッグ

    シンプルで使いやすい人気のトートバッグ

  • 好きなアルファベットを選べるノートカバー

    好きなアルファベットを選べるノートカバー

  • お店などの名入れもできる消毒液カバー

    お店などの名入れもできる消毒液カバー

  • アウトドアグッズ

    アウトドアグッズ

Roland DG:Sobagniブランドを立ち上げたきっかけは何ですか?

鈴木さん:当社の自動車内装用の合成皮革は、車両内装に要求される厳しい規格をクリアした高品質で耐久性が高く、また環境にも優しい素材です。これまで個人のお客様に知られていなかったこの素材を「エシカルレザー」として広くお使いいただきたいという想いでSobagniを立ち上げました。

当初は35品目からのスタートでしたが、現在は約200品目まで商品数を増やしています。ブランド企画部のメンバー6名全員で日々新しい商品の企画に取り組んでいます。
販売は自社ECサイトが中心ですが、一部商品は浜松市内のセレクトショップなどでも取り扱いがあります。Sobagniブランドの商品だけでなく、他社ブランドのOEM生産やコラボ商品の製造も行っています。

エシカルレザーのバッグを拝見しました。実際に持ってみると驚くほど軽く柔らかいですね。

一般的な合成皮革に使われるポリエステル系ポリウレタンは、加水分解(水分や空気中の湿気によって発生する分解反応)で表面が劣化しやすい弱点があります。当社のエシカルレザーはポリカーボネート性ウレタンという、加水分解しづらく、耐久性・耐水性が高い材料を使っています。皮膜が薄く柔らかいですが丈夫な材料です。Sobagniブランドを通じて、一般のお客様の「合成皮革は長持ちしない」というイメージを変えたいと思っています。

10年間の使用を再現した耐久試験の結果

10年間の使用を再現した耐久試験の結果。一般的な合成皮革のバッグ(左)は表面がボロボロになったが、エシカルレザーのバッグ(右)は品質がほとんど変わらない

レザーグッズをUVプリントでさまざまなデザインに

ブランド企画部のオフィスに導入されたUVプリンター「LEF2-300」

ブランド企画部のオフィスに導入されたUVプリンター「LEF2-300」

商品はどのように作っていますか?

小ロット多品種で受注生産をしています。商品は受注後にプリントするため、在庫を最小限に抑えられ、人気や売上に応じて生産量を調整できます。

UVプリンターを導入していかがですか?

Sobagniの立ち上げ準備にあたり、将来的に商品やデザインのバリエーションを増やしたいとUVプリンターLEF2-300を導入しました。特になめらかで柔らかいエシカルレザーへの印刷品質が導入の決め手になりました。鮮やかな色の発色も良く、水彩画のような淡いタッチのイラストやグラデーションも忠実に再現できます。

また、Sobagni公式Instagramなどでプロモーションをしていますが、フォロワーの皆さんから寄せられたアイデアから商品の新しいデザインが生まれることもあります。例えば人気の動物モチーフのマウスパッドは、「他の犬種のデザインも欲しい」とのお客様の熱い要望でデザインを追加しました。オンデマンドで柔軟に対応できるのもUVプリンターのメリットだと思います。

動物のユニークなデザインが人気のマウスパッド

マウス操作で動物のおなかをさすっているようなイラストレーターのイクタケマコトさんによるユニークなデザインが人気のマウスパッド。動物は続々と増加中

ユーザーに寄り添った商品を作りたい

ブランド立ち上げ後の反応はいかがですか。

SNSなどを通じてお客様にSobagniを知っていただけるようになってきました。また、エシカルレザーが環境に優しい素材としてメディアで取り上げられたことで「この廃棄物から合成皮革を作りたい」と素材開発のご相談をいただく機会も増えました。最近では、長野産のシードルの製造工程で発生するりんごの絞り粕を使った合成皮革を開発しました。(詳細はこちら)

エシカルレザーを通じた地域の子どもたちとの交流も行っています。地元の小学校のクラブ活動に協力し、子どもたちの描いた絵からペンケースを作るワークショップを実施しました。(詳細はこちら)

描いた絵を社内でデータ化し、組み立て前のペンケースの素材にUVプリント。子どもたちと一緒に組み立てて完成しました。準備は大変でしたが、子どもたちや先生から大変喜ばれ、やりがいを感じました。今後も定期的に活動を続けていきたいと思います。

  • りんごの絞り粕からできた合成皮革

    りんごの絞り粕からできた合成皮革。商品展開も企画中

  • 子どもたちの描いた絵をプリントしたペンケース

    子どもたちの描いた絵が、おしゃれで長く使えるペンケースに

今後の展開について教えてください。

現在、商品のデザインはイラストが中心ですが、全面にプリントを施したグラフィカルなデザインなどにも挑戦してみたいですね。また、需要のある名入れサービスも充実させたいと思います。

「Sobagni」はイタリア語の「sogni」(たくさんの夢)と日本語の「そばに」をかけあわせた造語で、お客様の夢のある生活に寄り添いたいという想いが込められています。これからも、私たちからの一方通行ではないお客様に寄り添った商品開発を続けていきたいと思います。

ありがとうございました。素材の特長を活かした素敵なグッズをこれからも楽しみにしています。

Sobagniの詳細はこちら