ルノー・DPワールド・F1チームのテクニカルセンターに設置されたソーシャルディスタンスサイン

ルノーF1、ローランド ディー.ジー.のインクジェットプリンターでテレワークの生産性向上

2020年09月29日 デジタルプリンティング

新型コロナウイルスの流行をきっかけに、多くの企業がテレワークなどの新しい働き方を模索しています。今回は、長年の当社インクジェットプリンターのユーザーでF1世界選手権に参戦するルノーF1が、多忙な出力業務を自宅から管理した事例を紹介します。

ルノーF1は2020年シーズンからルノー・DPワールド・F1チーム(Renault DP World F1® Team)に名称を変更してF1に参戦。イギリス・オックスフォードシャー州エンストーンのテクニカルセンターで当社インクジェットプリンター「TrueVIS VG2-640」やカッティングマシン、3次元切削加工機をマシンのグラフィックの印刷やパーツの製作に活用しています(詳細はこちら)。
この夏の初め、新型コロナの影響で在宅勤務中のグラフィックチームの責任者Joe McNamaraさんをRoland DG UKがリモートで取材しました。

過去の取材記事はこちら

ルノーF1のグラフィックチームが実践するテレワークとは?

テクニカルセンターの再開の準備中、Joe McNamaraさんと同僚のDavid Colmanさんはソーシャルディスタンスを保つためのグラフィックの需要の急増を実感したそうです。

ルノー・DPワールド・F1チームのテクニカルセンターに設置されたソーシャルディスタンスサインルノー・DPワールド・F1チームのテクニカルセンターに設置されたソーシャルディスタンスサイン

水曜日の朝10時、McNamaraさんは自宅の庭先の小屋からRoland DG UKのリモート取材に応じてくれました。手元のパソコンからリアルタイムで本社の業務の進捗を確認でき安心したのか、庭の小鳥のさえずりに癒やされたのか、いつも以上に穏やかな雰囲気のMcNamaraさん。その理由をたずねました。

McNamaraさんは本社のプリントルームで働くColmanさんをモニターに映しながらこう話します。

「今シーズン初めは特に忙しかったですね。ちょうど新型コロナが流行り始める数週間前に在宅で仕事ができる環境を整えましたが、もっと早く導入すれば良かったと思いました」

「驚いたことに、今は同じ場所で働いていたときと同等かそれ以上に生産性が上がりました。デザインデータはビデオ会議や電話の合間に本社のプリンターに直接送ります。Davidはプリントルームで一人仕上げ作業をしますが、とても集中できるようです」

自宅から本社の出力状況をモニタリング

自宅から離れたオフィスにあるローランド ディー.ジー.のプリンターで出力

エンストーンの本社と郊外のグロスターシャーにあるMcNamaraさんの自宅は約79km離れていますが、TrueVISシリーズのプリンターと出力ソフトVersaWorks 6を使ってリモートで出力しています。
【追記】※プリンターとリモート環境のパソコンを同一ネットワークに接続する必要があります。

「プリンターのすぐ隣で働くのはもう時代遅れになるかもしれません。プリンターは小さな部屋に設置すれば、より広い別室で作業ができます。世界中のどこからでもインターネット経由で出力できます。今年2月、シーズン最初のF1テスト走行でバルセロナのガレージにいましたが、現地で編集したデータをすぐにエンストーンの本社のプリンターに送りました」

「今は仕事が多いため、通常よりも長い時間自宅で働いています。ですが、毎日往復2時間の車通勤のストレスもなく浮いた時間で多くの仕事ができます。本社のDavidも出力が完了するたびに次のデータが届くようなスピードが性に合っているそうです。一日があっという間に過ぎ、チーム全員が効果を感じています」

インタビューの当初の目的は、新型コロナによるテクニカルセンターの閉鎖・再開でグラフィックの製作などに当社プリンターがどう使われたか知ること。しかし、McNamaraさんはそれ以上に今回初めて気付いたリモートプリントの可能性を伝えたかったそうです。

「イースターの週末には、イギリス政府の支援のもと、通常はレーシングカーのパーツを作る工場で人工呼吸器の生産の準備を始めました。

工場は広く窓も多いので膨大なグラフィックが必要でした。これまでの経験を活かし、主に仮設のセーフティーグラフィックやフロアグラフィックを作りました。常時開放を知らせるウィンドウステッカーや簡単な注意書きなどです。工場の再開に向けてやるべきことはたくさんありましたが、余裕を持って完了できる自信がありました」

ルノー・DPワールド・F1チームのテクニカルセンターに設置された仮設のセーフティーグラフィックやフロアグラフィック

その目標は優れた印刷技術とプロの創意工夫を組み合わせることで達成されました。

「膨大な量のグラフィックを設置するには、他のチームからも応援が必要でした。グラフィックのサイズや配置場所にこだわりつつ、施工経験のないメンテナンスチームでも簡単に取り付けられる設計にしました。例えば壁面グラフィックはあらかじめ3mm厚の発泡ボードに両面テープで貼り付けてあるので、簡単に設置でき、時間のロスもありません」

グラフィックをすばやく設置

また、出力作業をどのように進めたかも話してくれました。

「実はこれまでメディアの自動巻き取り装置の活用を検討する時間がなく、カット後のシートはそのまま床に落としていました。今回の長時間のプリント&カット作業にVG2-640の新しい自動巻き取り装置が重宝しました」

「最後に念のため20分ほど乾燥させて完成ですが、このプリンターなら必要ないかもしれません。あとは、必要な4000枚のステッカーがプリントルームに用意できたとメンテナンスチームにメールで伝えるだけです」

McNamaraさんはインタビューをこう締めくくりました。

「長年この仕事をしていますが、郊外の自宅で本社の出力状況をチェックしながら仕事を進められることに今でも驚いています。本当にすばらしい技術だと思います」

ルノー・DPワールド・F1チームの詳細はこちら(英語)

この記事はRoland DG UKのウェブサイトに掲載されたコンテンツを加筆・修正したものです。