メイカーズ・ラボとよはし

ものづくりの可能性をもっと身近に メイカーズ・ラボとよはし

2021年10月04日 デジタルプリンティング, 3Dものづくり

愛知県豊橋市の「メイカーズ・ラボとよはし」は、地元の第三セクターである株式会社サイエンス・クリエイトが運営するものづくり施設です。東三河地域の新産業創出支援、産学交流の拠点となる「豊橋サイエンスコア」内に2015年に開設され、誰もがものづくりに挑戦できる場を整えることで、地域産業の活性化を目指しています。

写真:ものづくりに関心のある幅広い層の人たちが集まるメイカーズ・ラボとよはし。親子で利用する方も

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ラボでの取り組みについて、運営スタッフの皆さんにオンラインでお話を伺いました。

株式会社サイエンス・クリエイト 竹本敦さん
同 技術コーディネーター 土田正弘さん
技術スタッフリーダー 佐藤海さん

(左から)土田さん、竹本さん、佐藤さん

(左から)土田さん、竹本さん、佐藤さん

Roland DG:メイカーズ・ラボとよはしはどのような場所か教えてください。

竹本さん:デジタル工作機械を揃え、地域の皆さんにものづくりの場を提供しています。個人の趣味から、企業や個人事業主の試作開発、大学の研究など幅広くご利用いただいています。豊橋市だけでなく、近隣の市町や、豊田市や安城市、静岡県浜松市からの利用者も多いです。

メイカーズ・ラボとよはしは、豊橋サイエンスコアの1階にある人材交流施設「豊橋イノベーションガーデン」の中にあります。豊橋イノベーションガーデンは、ものづくり拠点「メイカーズ・ラボとよはし」、起業支援拠点「Startup Garage(スタートアップガレージ)」、食品試作開発拠点「アグリフード・ラボ」の3施設の総称で、それぞれが機能を共有しながら運営しています。
例えば、メイカーズ・ラボで試作したものを製品や販売へ繋げていきたい場合、具体的な販売戦略や、起業や補助金の相談ができるStartup Garageへ案内します。逆にStartup Garageでアイデアから試作開発を行いたい場合は、メイカーズ・ラボへ案内してもらうといった具合です。

第三セクターの運営する施設ならではの特色はありますか。

竹本さん:メイカーズ・ラボとよはしは、第三セクターの強みである産学官金連携を活かした全国的に珍しいラボだと思います。より多くの方にお使いいただけるよう、料金設定も極力抑えています。小学生でもワンコインで最新の機器を利用することができます。
また、専任の技術コーディネーターによる技術相談窓口が設置されており、作業したい内容がラボの機器で対応できるか、使用したい素材が加工できるかなど、専門的な相談対応もさせていただいています。利用者をサポートする技術スタッフは地元の豊橋技術科学大学の学生です。利用する企業は学生とのつながりができ、学生は専門分野の持ち味を活かし、企業との交流を通じて自発的に考えて動いています。

初心者から上級者まで 開かれたラボ

ラボはどのように利用されていますか?

竹本さん:会員として継続的に利用される方が多いですね。初めての方には機器や加工サンプルを紹介するラボツアーを実施しています。作りたいもの・やりたいこととラボでできることがマッチすれば、会員になっていただくという流れです。

ラボでできることがひと目で分かる模型

ラボでできることがひと目で分かる模型はスタッフの自信作

初めてご利用いただく時は、各工作機械を正しく安全に使用する方法やアプリケーションソフトの基本操作を学ぶ講習を受けていただいています。

主にどのような機器が利用されていますか?

ラボでは、特にレーザー加工機、UVプリンター、3Dプリンターがよく使われています。
当初は3Dプリンターしかありませんでしたが、今は機器の種類や数も増えてできることの幅が広がりました。

当社のUVプリンター「VersaUV LEF-300」、ガーメントプリンター「VersaSTUDIO BT-12」、3次元切削加工機「monoFab SRM-20」も設置

当社のUVプリンター「VersaUV LEF-300」ガーメントプリンター「VersaSTUDIO BT-12」3次元切削加工機「monoFab SRM-20」も設置

当社製品はどのように使われていますか?

竹本さん:UVプリンターは、レーザー加工機で形を作った後、色をのせるために使われることが多いですね。写真やイラストをフルカラーできれいに表現できます。上級者はクリアインクを使った特殊印刷にもチャレンジしています。

土田さん:アクリルやMDF(繊維板)にUVプリンターで印刷してキーホルダーなどの小物を作るのに使われたりしています。2Dのデータで手軽に製作できて使いやすいようです。

佐藤さん:建築専攻の学生は、卒業設計の模型をレーザー加工機で作って、UVプリンターで装飾したりしています。研究室の卒業生に贈る記念品をUVプリンターで作ったこともありました。

豊橋ゆかりのNHK連続テレビ小説「エール」のロゴ入り木札

豊橋ゆかりのNHK連続テレビ小説「エール」のロゴ入り木札。MDFをレーザー加工機でカットし、UVプリンターでプリントした豊橋市のオリジナル商品

ガーメントプリンターも最近導入されたそうですね。

竹本さん:トートバッグなど布類に印刷するニーズがあり、導入を決めました。機体がコンパクトで出張イベントに持っていきやすく、とても助かります。ラボ以外の場所でものづくりを体験いただくきっかけ作りができそうです。

佐藤さん:治具にセットするだけで手軽に印刷でき、専用ソフトも操作しやすいと好評です。

ガーメントプリンター「BT-12」

ガーメントプリンター「BT-12」

豊橋のレトロなマンホールのデザインをプリントしたTシャツやキーホルダー

ラボの周年イベントでは、豊橋のレトロなマンホールのデザインをTシャツやキーホルダーにプリント

ものづくりの裾野を広げつつ未来の起業家を育てたい

今年で6年目を迎えますが、オープン当初から変わってきたことはありますか?

竹本さん:企業の試作開発や大学の研究開発だけでなく、個人事業主の方や、主婦やリタイアされた方など、幅広いみなさんに来ていただけるようになりました。
地域の未来を支える若い世代にものづくりの面白さを伝える活動にも力を入れています。機械操作やデータ作りが難しく、利用したいけれども利用できていないという学生向けに、「ものづくりにチャレンジ!」をテーマに、スタッフと一緒に自分たちの作りたいものを作る「オープンラボ」を今年から始めました。オープンラボをきっかけに次は自分自身で作りたい、とステップアップしていただければと思います。

また、ロボットやドローンなど最先端の技術を活用した小中学生向けの講座「ロボティクス広場」も開催しています。8月からの連続講座テーマはAIカーのプログラミングです。コースの周りにみんなで街を作り、学習させたAIカーを走らせます。参加した子どもたちは楽しんで手を動かしています。自分の作ったものが実際に動くのが一番楽しいですからね。

AIカーのプラグラミング講座AIカーのプラグラミング講座

最後に、メイカーズ・ラボとよはしが目指していることを教えてください。

竹本さん:オープンした6年前は「メイカー」という言葉が注目され、全国各地に多くのラボが立ち上がりました。しかし、残念ながら今も活発に活動しているラボは少なくなってきているのが現状です。私たちは豊橋市の協力を受けながら、この地域の産業活性を目的としたラボとして確立できています。今後は近隣自治体のラボとも連携しながら、ラボ同士をつなげるハブとして広く活動していきたいと考えています。
将来的に、ラボを利用する企業や個人、学生や子どもたちから、新製品を生み出したり、起業したりする方がこの地域から出ることを期待しています。

これからの展開も楽しみにしています。本日はありがとうございました。