従業員とともに
人材育成
当社は、経営理念・ビジョンから導出された経営戦略・事業戦略を有効性ある実践へと展開し、企業価値の創造に寄与する人材の育成に努めるとともに、従業員一人ひとりが自身のキャリアビジョンに基づき、その能力を十二分に発揮できる機会を大切にしています。
人材育成制度
従業員のリーダーシップや専門性の向上、自己啓発を支援するために、階層別研修、目的別研修、選抜研修などの教育体系を整備しています。階層別研修では、等級別に必要な意識、知識、スキルの習得とともに、経営理念、行動基準に沿った自律性、主体性の醸成を図っています。当社では、マネジメント職だけでなく特定領域における高度な専門性を持つスペシャリスト(専門職)の育成を図るべく、複線型人事制度を導入しています。MBOに基づく業績評価と行動評価は能力開発システムと連動し、上長のフィードバックを経て、自身のキャリアビジョンに照らして不足する要素を、目的別教育、自己啓発プログラムで補えるようにしています。また、次世代のリーダーを育成するための選抜研修にも積極的に取り組んでいます。
リスキリング
DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じて、事業ポートフォリオの転換を成し遂げ、新しい時代を切り開くイノベーションを創造するためには、未来を見据え、変化に先んじて柔軟に対応できる能力や知識を備えた人材の育成が不可欠です。当社は、2022年度よりアルバイト・派遣社員を含む希望者全員が最新のテクノロジーを幅広く学習できるオンライン型の学習プラットフォームを導入するなど、人材に積極的に投資し、従業員一人ひとりの成長促進と組織能力強化を目指しています。
ダイバーシティ&インクルージョン
従業員がいきいきと働き、その能力を最大限発揮できる環境をつくることが、イノベーションの誘発や新たな付加価値の創造につながるとの考えから、さまざまなダイバーシティ&インクルージョン活動を推進しています。
女性の活躍推進
当社は、女性従業員の活躍を推進すべく、育児支援勤務制度の拡充や産休育休前後の支援体制強化など、女性従業員が安心して就業を継続できる環境を整備しています。また、女性活躍推進法の施行を受け、女性従業員がキャリア形成に前向きにチャレンジできるよう、女性管理職比率の向上を目標に掲げ、社内の意識改革を進めるとともに、キャリア形成支援、女性管理職候補の育成強化、また、それらを下支えする働き方改革に取り組んでいます。
なお当社は、女性活躍推進法に基づく認定制度「えるぼし」最高位の3段階目に静岡県内製造業として初めて認定を受けており、その評価項目である「採用」、「継続就業」、「労働時間等の働き方」、「管理職比率」、「多様なキャリアコース」の5項目すべてにおいて基準を満たしています。
- 男女別の平均継続勤務年数の差異:
2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 男性正社員(一般職・管理職) 14.9年 15.0年 15.0年 14.9年 女性正社員(一般職・管理職) 11.4年 10.9年 11.8年 11.1年 男性正社員(製造専任職) - - 6.0年 5.0年 女性正社員(製造専任職) - 14.3年 14.0年 13.1年 - 男女別の新卒・経験者採用者数および採用における競争倍率(製造専任職を除く):
2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 男性正社員(一般職・管理職) 21名 13名 20名 23名 女性正社員(一般職・管理職) 4名 6名 4名 7名 男性正社員(一般職・管理職) 12.1倍 15.4倍 8.4倍 12.6倍 女性正社員(一般職・管理職) 12.0倍 17.1倍 9.0倍 10.1倍 ※競争倍率は、採用者数/(新卒一次選考参加者数+経験者書類選考応募者数)
- 女性管理職者数・比率:
2022年度 2021年度 2020年度 2019年度 女性管理職数 6名 6名 6名 5名 女性管理職比率 6.7% 5.7% 5.7% 5.1% ※人数は、12月末時点
障がい者の活躍推進
当社は、健常者・障がい者すべての従業員がともに働き、お互いの個性や実力を発揮できる企業を目指しています。社内では、障がい者個々の能力を活かした業務を開発し、働き甲斐のある職場作りを行っています。また、障がい者の円滑な就労を支援するために、企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)の資格や障害者職業生活相談員の資格取得を推進するとともに、メンバーの業務スキルなどの習得に向けた勉強会も開催しています。
2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | |
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障がい者数 | 12名 | 11名 | 12名 | 12名 |
障がい者雇用率 | 2.28% | 2.15% | 2.04% | 2.31% |
※人数は、12月末時点
外国人の活躍推進
連結売上高の9割近くを海外売上が占める当社では、海外15ヵ国に子会社を展開し、浜松本社においても、言語、文化、宗教の違いを受け入れる寛容性が企業文化として根付いており、多国籍人材のインクルージョンも円滑に進んでいます。今後はこうした多様性を更なる企業価値の創造につなげるべく活動を推進してまいります。
2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | |
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外国人数 | 10名 | 10名 | 9名 | 9名 |
※人数は、12月末時点の、ローランド ディー.ジー.株式会社、DGSHAPE株式会社の日本国内の事業所で就労する正社員および派遣社員の合計
定年退職者の活躍推進
当社では、定年(60歳)退職後の再雇用を希望する社員に対し、最長65歳まで働き続けることができる制度を整備しています。長年にわたって培われた職務経験・遂行能力、知識、技術に基づく継続的な業務遂行のみならず、助言・サポート活動を通じた後進の育成、暗黙知の形式知化および企業文化の伝承に貢献いただくことで、企業価値の維持・向上を図っています。
2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | |
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定年退職者の再雇用者数 | 4名 | 12名 | 6名 | 8名 |
※人数は、12月末時点
働き方改革
当社は、多様な人材が仕事と生活を両立しながら生き生きと働ける環境づくりを目指し、働き方改革を推進しています。有給休暇取得の促進だけでなく、フレックスタイム制度、在宅勤務制度、時間単位有給付与などにより、時間と場所を効率的に活用できる柔軟な働き方を実現し、多様な従業員が継続的に活躍できる環境を整備しています。また、これと同時に、業務の効率化などによる労働時間の削減、従業員一人ひとりの専門性向上と多様な能力を活かすマネジメントの実践などにより、生産性の向上に取り組んでいます。
2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | |
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一般職の平均残業時間 | 15.37時間 | 14.3時間 | 8時間 | 18時間 |
2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | |
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平均有給休暇取得率 | 79.45% | 67.57% | 70% | 83% |
育児・介護の両立支援
当社では、社員が安心して子供を育てることができるよう、最長で2歳になるまで利用できる育児休業制度や、小学校3年生の年度末まで勤務時間を1日6時間程度とすることができる育児短時間勤務制度を整備しています。一方、介護をしながら働く社員をサポートするため、最長1年間利用できる介護休業制度や勤務時間の短縮を認める介護短時間勤務制度を整備しています。
- 子育てを考える会の様子
- 介護説明会の様子
労働安全管理
当社では、従業員の安全と健康を守ることは最優先の課題であることを認識し、安全衛生委員会主導の下、職場における危険・有害状況の調査およびその対策事項の審議、労働災害等の発生原因および再発防止策の立案、安全衛生に関する計画立案等の活動を行い、その計画の実施、評価、改善のPDCA活動を継続的に行うことで、誰もが安全に働ける職場づくりに全社一丸となって努めています。
2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | |
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労働災害件数 | 2件 | 2件 | 3件 | 2件 |
健康保持・増進
当社では、保健師が常駐し、従業員の健康保持・増進やメンタルヘルスケアに取り組んでいます。年に一度の健康診断はもちろんのこと、35歳以上の従業員に対しては、人間ドックの受診を奨励しています。また、月間の時間外労働が80時間超の従業員に対しては産業医による面談を実施するとともに、生活習慣病のリスクが高い者に対しては保健師が個別に保健支援や教育を実施、またメンタルヘルスの面では、健康診断時にストレスチェックや保健師の個別面談、支援を行うなど、定期的に従業員の健康面への配慮を行っています。
従業員満足度の追求
従業員がいきいきと働くことが、ステークホルダーの皆様の満足度の向上、ひいては企業価値、ブランド価値の向上につながります。コーポレートスローガンの一つに「創造の喜びを世界に広めよう」を掲げる当社においては、既成概念にとらわれない自由なイマジネーションを尊重するとともに、従業員一人ひとりの意欲を引き出し、多様な能力が十二分に発揮される環境を整備することが肝要であると考えています。当社は年に一度、従業員満足度調査を実施し、クリエイティブかつイノベーティブな価値を提供するための最適な人事制度・企業文化の在り方を追求し、従業員のエンゲージメントを高めるための諸施策に反映しています。
2022年度 | 2021年度 | 2020年度 | 2019年度 | |
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従業員満足度 | 3.40 | 3.40 | - | 3.17 |
人権
当社は、従業員一人ひとりの権利を尊重し、人種、宗教、国籍、性別、年齢などを理由とした不当な差別のない職場環境づくりに取り組んでいます。
ハラスメントの防止
従業員一人ひとりが個人として尊重され、ハラスメントを受けることなく安心して就労することができるよう、就業規則においてハラスメントを明確に禁止し、また、その防止に努め、万一かかる事態が発生した場合には迅速かつ適正な措置を取ることとしています。ハラスメントの防止のために、従業員に対する意識啓発に取り組み、全社員を対象に年に一度の教育受講を義務付けるとともに、迅速かつ適正な措置を取るために、社内、社外にハラスメントに関する相談窓口を設置しています。
児童労働、強制労働の防止
グローバルレベルで事業を展開する当社は、海外子会社がある各国・地域の法令や社内規定に基づき、適切な人事管理に努めています。当社グループにおいて、児童労働や強制労働に関する問題は発生していません。
労働基本権の尊重
当社では、労働組合との対話を行うことで、労使間のさまざまな課題の解決に努めています。毎月開催される労使協議には、経営幹部が出席し、意見や情報交換を行っています。労働組合との関係性は友好的であり、健全な労使関係の維持に努めています。
グループ会社の取り組み
Roland Digital Group(Thailand)Ltd.
タイ子会社のRoland Digital Group(Thailand)Ltd.では、従業員の安全と心身の健康を守ることが事業活動の大前提であると考え、誰もが安心して活き活きと働ける職場づくりに努めています。
都田工場からの量産機能の移管が行われた2021年度は、生産機種数や生産量の増加、従業員数の増加といった要因から、事故や災害のリスクの高まりが懸念されました。このような背景から、作業に潜在しうるリスクを把握、低減するため、今年度の重点テーマとしてリスクアセスメント実施体制の見直しとさらなる強化を図りました。
リスクアセスメント
Roland Digital Group(Thailand)Ltd.では、安全管理責任者を選任し、リスクアセスメントを展開しています。責任者は、必要な基礎知識や技能を身につけたうえで、潜在的なリスクを把握し、その見積もりと評価を行ったうえで適切な対策を実施し、労働災害の未然防止につなげています。2021年度は、あらゆるリスクの確実な阻止を目的とし、アセスメントの対象領域を従来の設備保全に加え、インク等の化学物質に関連するものまで広げました。また、今年度より新たに第三者機関による外部審査を実施。内部チェックでは予見できないリスクまで確実に対応し、その際に受けた是正項目の改善とフォローアップまで抜かりなく行うことで、労働災害が発生しない現場づくりに努めました。
安全文化醸成のための日常活動
Roland Digital Group(Thailand)Ltd.では、安全衛生活動を通じた安全文化の醸成に力を入れています。5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底こそが安全の基本であると捉え、始業前の5分間を5S活動にあて、毎朝、全員参加で取り組み、作業者の動きの無駄を排除し、思わぬケガやトラブルを起こさないよう工夫しています。
また、一人ひとりがどう行動したらよいか、何をどうすればよいかが一目で分かるよう、自社のプリンターを活用して指示看板やフロアサインも内製し、作業場内の秩序が常に保たれるようにしています。
2020年度からは、危険予知訓練(KYT訓練)、品質問題予知訓練(QYT訓練)を継続的に実施し、普段から危険や問題について考え、従業員同士が対話する機会を設けることで、一人ひとりのリスクに対する感度を高めています。
これらの活動に際しては、5S活動においては会社オリジナル5Sソングを流したり、KYT・QYT活動ではチーム対抗戦を取り入れてゲーム感覚で取り組めるようにしたりと、エンターテイメント性を重視するタイ人の気質を考慮し、安全について楽しみながら取り組めるよう工夫しています。
こうした取り組みの結果、直近の2022年度の労働災害件数は、軽度・重度レベルともに0件を達成しました。また、2022年にはタイ労働安全衛生研究所が主催する安全衛生の審査において最高賞を受賞するなど、高い安全衛生水準を維持・改善している企業として社会的な評価も受けています。
- リスクアセスメント研修
- 全員が参加する5S活動
Roland DGA
アメリカの販売子会社Roland DGAでは、従業員がハッピーで、モチベーション高く働くことが、お客さまのハッピーにつながるとの考えのもと、「Fulfillment(充実)」「Inclusion(包摂)」「Collaboration(協働)」の3つのキーワードを軸に、働くことに喜びや誇りを感じられる職場づくりに積極的に取り組んでいます。
Fulfillment
充実感は、従業員一人ひとりが、それぞれの思いや夢を達成することから生まれます。Roland DGAでは、従業員がそれぞれの能力を最大限に高め、意義のある業務に携われるようさまざまな支援策を用意しています。
スキルアップの面では、会社の費用負担で、業務分野での資格の取得や地元大学でのリーダーシップ研修への参加を奨励するとともに、オンライン学習コース「LinkedIn Learning」を活用することで、時間や場所にとらわれず、柔軟に学べる環境も提供しています。
また、キャリアアップの面では、独自のキャリア・インタビュー・プログラムを採用しており、すべての従業員が、シニアマネジメントチームのメンバーと面談を行い、各個人のキャリアゴールについて対話を行いながら、達成に向けた方策をともに検討する機会を設けています。Roland DGAの企業規模では昇進ポストは限定的にならざるを得ませんが、社内で新たなポストが生まれた場合には、従業員に優先権を与えることで、成長の機会を積極的に提供しています。
Roland DGAでは、個だけでなく、組織全体としての充実感も大切にしています。社内にはバラエティに富んだイベント委員会があり、年間を通じて楽しみながら従業員同士が交流を図ることができるイベントを開催しています。例えば、「BASE team」では、会社が大切にしている価値観を創造的に強化する社内イベントを四半期ごとに開催するほか、その価値観を最もよく体現している従業員を表彰しています。組織内にとどまらず、地域社会や慈善団体での支援活動に取り組む委員会もあり、従業員の活躍領域はますます広がっています。
- 野球観戦を楽しむRoland DGAメンバー
- ハロウィーン・パーティでは全員で仮装も
Inclusion
Roland DGAでは、個々人の違いや価値観を尊重し、一人ひとりをパートナーとして公平に扱う、多様でインクルーシブな職場づくりに努めています。インクルージョンの観点では、すべての人が歓迎され、心理的安全性が担保され、フィードバックや懸念事項を気軽に共有し合える関係性を構築することが重要であると考えています。これを実現するために、Roland DGAでは、定期的な従業員アンケートを通じて職場環境を調査するほか、四半期ごとに開催される全従業員ミーティングや前述のキャリア・インタビュー・プログラムなどの場を有効に活用しています。従業員との対話の機会を大切にし、全員が気持ちよく仕事ができる職場を実現するために、あらゆるカースト的な仕組みを排除し、壁のない職場づくりに励んでいます。
Collaboration
健全な企業文化が構築され、インクルーシブな価値観が重視されていれば、コラボレーションは自然に生まれると考えています。Roland DGAでは、「サイロ」を積極的に排除し、異なる部門のさまざまなポジションの従業員がお互いに協業することを奨励しています。毎月開催されるミーティングでは、各部門のマネージャーがそれぞれの部門についての最新情報を共有し合い、ともにブレーンストーミングを行う場を用意しています。また、現場では、さまざまな部門横断チームが編成され、年間を通じて多くのプロジェクトに取り組んでいます。
ポジティブな企業文化を作り上げることの重要性は強調されすぎるということはありません。完全な企業文化というものはなく、常に磨き続けていなければなりません。そのために全員がいつも企業理念やその実践体系を参照している必要があります。Roland DGAは、企業文化の重要性をプライオリティの一つに掲げ、柔軟に変化し、成功に向けてベストな職場環境を整えています。これらの取組みは、従業員から高く評価され、Roland DGAは毎年のようにカリフォルニア州オレンジ郡の地元紙Orange County Business Journalによって「Best Workplace(最高の職場)」の一つに選出されています。